学びを創るとは。その1学習エンジンを起こす

簡単な教材から学習エンジンを起こして学びを創ってみましょう。
4年生の正方形、長方形の面積についてです。
用意するものは工作用紙1㎠のチップが8個ほど。1㎠のチップが8個あるわけですから、合わせれば当然8㎠となります。つまりは1個あたり1㎠のチップが8個で、8㎠。
今三つの文で表現したことは重要なファクターです。

さて、遊びましょう。8個のチップを様々な並べ方をして見てください。シンプルだったり、美しかったり、いろいろあってください。
但しルールはチップを重ねないこと。重ねてしまうと8個8㎠では無くなりますから。
また図形の辺か頂点を共有するようにします。
ここからこども達は思い思いにチップを並べるでしょう。美しい並べ方。とてもシンプルな並べ方。ちょっと変わった並べ方。

などなど。

実際はもっとバラエティに富んだものとなるでしょう。こども達は自己決定し、作っては壊し、作っては壊しを繰り返します。
その合間合間で友達と見せ合いお互いを認め合うでしょう。この時点で、学習エンジンがかかっていきます。

色々な並べ方を友達同士で交流し始めます。一つのテーマや課題の下、情報交換があって互いに気づき合えば、もう対話が始まっています。
ここで教師は、子どもの並べたものを観ながらフィードバックするのです。
「友達のを見て、色々気づくことがあったでしょう。なかなか面白いものもありましたね。
 ところで、みんなちがって、みんないいのだけど、みんな同じ事があるよね。何だろう?」
「みんな8個だよ。」
「そうなんです。先生はねみんなから学べたの!みんなの並べ方は色々で、みんな形が違ったけど、合わせた数は8個。
 広さは8㎠ということ。形はちがっても広さは同じって事だ。」
こういう風にしてフィードバックし、全体で共有します。学びが一段深まります。

それから、こんな遊びはいかが?
同じ広さ8㎠だけど、回りの長さが一番長いのはどんな形?
同じ広さだけど、回りの長さが一番短いのはどんな形?

この遊びはとても挑戦的で面白いので、こども達は夢中になります。
形は変わっても、広さは同じ、広さは同じでも、周囲の長さは違う。

などなど、遊びの中で等積変形と面積と周囲の長さの関係について、体験を通して気づくことができます。遊びの中で、面積の本質(真理)に触れ合っています。もちろん実のある対話もしています。学びがまた深まっています。このようなアクティビティを真理の野に遊ぶといいます。
学習エンジンをかけ、児童が自己決定し試行錯誤することで自らが気づきます。その気づきを先生が受け止めて対話を通してフィードバックします。
「先生があなたから学べたことはね。」と。

試行錯誤と自己決定と対話で学びが深まります。真理の野で先生もこども達も遊べたからです。
ここまでが学習エンジンが起こり、対話が始まり、探究の扉が開くまでです。
次回は、多様な学びを通して、「たて×よこ」という正方形・長方形の面積の求め方をどう深めるかです。

「学びを創るとは。その1学習エンジンを起こす」への1件のフィードバック

  1. このプログラムとっても面白いですね。
    奥山先生のワークショップをたくさん見学・学ばさせていただいた大学生だったあの頃を懐かしく思い出しました。

    最近また、子ども向けのワークショップを主催するようになりました。(本業ではなく、ボランティアの一環として細々と)奥山先生のもとで学んだことを生かしつつ、子どもたちの興味をかきたてるワークショップを目指し頑張っています。

    このプログラムもぜひ参考にさせてください。
    (図形の形を島に見立てて、島の大きさや湖の大きさを比べて見たりしたいですね。もしかしたら、砂みたいな粉状のものが図形の上だけに乗るように上手く上からかけてやると、山(立体)も表現できるかもしれないですね。大きな山を作るにはどんな島の形がいいんだろうなんて話を広げてみたいです。)

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